アニメ・声優・ゲーム(特にアトリエシリーズ)はたまた気ままな日々について話したいと思います!!イラストも載せたり・・・。 コードギアスと真下監督のガンアクションアニメを応援中。
色褪せない思い出−5
2006-11-26 Sun 15:04
「いったぁぁぁ〜〜〜〜〜っぃ。」
やっと藍はスプーンを口から離した。その反動で俺は後ろへ倒れかけ、軽いしりもちですんだ。
「痛いのはこっちだ。バカ食い女。」
藍はずっと口を手でおさえている。
あれだけ口と手でひっぱりあってたもんなぁ。そりゃ痛いわぁ。
俺もあとから手がじんじん痛む。
さっきまでひっぱりあいになっていたスプーンをみると、少しスプーンの色がはがれていた。
おそるべし野生の王。

「いいじゃん、味見くらい。……おいしそうだったんだもん。」
俺の家の方向を見て、藍が言った。
「おいしそう」の言葉に今回は許してやるか。

「ハイハイ。わかった、わかった。許してやるから食え。」
俺は手をのばした先にティッシュがあったので、勢いよく藍の口元を拭いてやった。
「いたたたたた、痛い、痛いよ。つか、そこまで子どもじゃない!!自分で拭けるってば。」
藍は俺が持っていたティッシュを奪い取ると、雑に口を拭いた。
「顔中にカレーこぼしてるやつがそう簡単に拭けるか。」
「うっさい!!・・・・・・・・青、『お兄ちゃん』みたいだねぇ。」
こぼしたのが恥ずかしいのか、子ども扱いされたのがムカついているのかよくわからなかったが、眼をそらしている。
「俺はちゃんと兄だ。どっかの姉と一緒にするな。」
「あたしだってちゃんと『お姉ちゃん』してるもん。」と藍は口をとがらす。
「・・・でも、懐かしいなぁ。緋露はあんまり口元につけないし。」
「って、ことは何?あたしは緋露君の小さい頃以下!?」
「そーいうことだな。」
俺はポンッと藍の頭に手を置き、それから台所へ向かおうとした。




「あたし達、キョーダイだったら良かったのにね。」




ボソッと藍が言った。
その言葉に一瞬足が止まったが、



「俺もそう思う。」



ただ一言残して、俺は台所へ向かった。





兄妹・・・・・・。
正直複雑だ。兄妹なら少しは楽だったのかもな。

俺は自分が持って来た鞄から楕円形のものを取り出した。

「兄妹なら少しは諦めもついたかもしれないな・・・・・・。」

俺は鞄から出したものを手にし、藍のいる居間へと向かった。



俺が台所から居間へ向かうと、藍はカレーの三分の二は食べ終えていた。
「何とりに行ったの?」
さっきまでのはなかったことのように、明るく藍が聞いてきた。
「コレッ」
俺は勢いよく藍めがけて楕円形のものを投げた。
それを藍は額でキャッチ。

「っとに、もう!危ないじゃん!!」

「それはお前のとり方が悪いんだ。・・・・それやるよ。」

それ・・・・とは、数時間前に藍がものほしそうに見ていた・・・・・・

「愛媛蜜柑〜〜〜〜vv」
愛媛蜜柑が潰れるくらい顔におしつけた。
「中身がえぐれるぞ」と言って、藍はしぶしぶやめた。
そして、愛媛蜜柑を机に置いたかと思うと、急いでカレーを口にいれた。
おそるべし、胃袋。

カレーが皿についていないほどキレイに食べ、ゴクゴクと水を一気に飲んだ。

「そいやぁ、さ。緋露君やおじさんとご飯食べなくていーの?」
藍が愛媛蜜柑をゆっくりとむく。
「あいつは、水月ちゃんと一緒。父さんは島の会議で2,3日いない。」
「ふぅ〜ん。」
俺は「もう食べないのか?」と藍に確認をとってから、他の食器と重ねた。
「だーかーら、水月ちゃんがいなくて寂しがるお前に、こーしてわざわざ俺がいてやってんの。」
文句を言いそうな藍に俺はすかさず、
「あと、わざわざ料理まで作って。」と嫌味たっぷりに言ってやった。
「ご飯炊いたのは水月だもん。」
小さく反論。そして、
「今頃、緋露君と上手くやってるのかなぁ?」
「さぁな。」と短く返す。


さっき、藍を追いかける前に、水月ちゃんが泊まりで出かけるというので、無理やり緋露も行かせた。
行き先はわかっている。富村さん家だ。
富村さん家は家畜をやっている。
羊の貫太郎が今日子どもを産むらしい。
もっとも、それは富村さんが勝手に言っているだけで、本当に産まれるかは、わからない。
でも、この仕事を70年も続けている富村さんに言わせると、今日に絶対産まれるらしい。
そこで、前々から出産がみたいと言っていた水月ちゃんが、今日は泊まりで富村さんの家にいるってわけだ。

まぁ、俺にとっても、好都合。
決して緋露が邪魔だったという訳ではない。
むしろ、向こうへ行った方が緋露の為。そして俺の為。
・・・・・こんな兄ちゃんを許してくれよ。緋露。


「上手くやってるといいな・・・・。」
俺は愛媛蜜柑の白く薄い皮をとりながら言った。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。




――――――――兄さん。 僕は嬉しいのか、悲しいのかわかりません。


「でねでね♪ この間、暴れてたイノシシのピーちゃんを呼んだだけで止めたんだよvv」

・・・・・・・・・・・・・・。
水月ちゃんといるのが不満というのでは、ありません。
ただ・・・・・・・・・・・・・・・・。

「青都さんって、本当にかっこいいよねぇ〜〜vv」

兄さんのかっこいい話を聞くのはちょっと・・・・・。

僕は現在、富村さんの空いている部屋を貸してもらっています。
僕と水月ちゃんは襖でしきられて、声だけを頼りに、この暗い部屋で話をしてます。
1時に羊の貫太郎の子どもが無事産まれました。
水月ちゃんは泊まると言いましたが、兄さんに泊まれといわれても、僕は帰るつもりでした。
ですが、もう遅いということで富村さん夫婦に止められ、泊まることになりました。
あ、服も貸してもらって・・・・。

そして、現在にいたります。

「でも、貫太郎よかったね。私、感動しちゃった。」

「ホントだね・・・・・。」
それは本当。
実際、見てるだけで何も手伝えなかったけど、とっても感動した。


「ごめんね。私なんかに付き合ってもらって。」
いきなりの言葉。
田舎の夜はしんとして、よく声が通る。
「ううん。僕も見たかったし。」

「どうしても、藍ちゃんと青都さんを二人っきりにしたかったの。」


・・・・・・・・・・・今、なんて?
藍さんと青都兄さんを・・・・・・・・?
でも、水月ちゃん・・・・。

「青都兄さんのこと好きなのにいいの?」
すぐには言葉は返ってこなかった。
数秒の沈黙が流れる。

「青都さんのことは好き。大好き。でも、でも・・・。」
襖と暗さでどんな顔しているのかわからない。
声だけが頼り・・・・。

「藍ちゃんよりも?って、聞かれると・・・・。きっと、私は・・・・。」

今度は少しこもった声が返ってきた。
枕に顔をあててるんだろう・・・・・・。

「水月ちゃん・・・・。」

「私が藍ちゃんか青都さん、どっちが好きかってハッキリしたら。きっと告白できると思うの。」

・・・・・どっちも好きだという答えでいいじゃないか。
無理に好きの順位をつけなくてもいいと思う。
でも、それは水月ちゃんにとって、とても大事なことなんだ。
それだけ、藍さんの存在は大きい。

・・・・って、ことは。僕はその大きい存在にもなっていないってことだよね。

「水月ちゃん・・・・・?」

「変なこと言ってごめんね。忘れて・・・。」
また声がこもってる・・・・。
うつぶせに寝てるなぁ・・・・・・。

「水月ちゃん、まだその癖治らないの?」

「あぁ、うつぶせ? うん。やっぱりまだ・・・・。」
声は明るいけど、きっと表情は・・・。
見なくてもどんな顔してるかわかる。

水月ちゃんは、寝るときうつぶせに寝る・・・・・。
それが悪いんじゃない。
その寝方をするときは、いっつも。

「枕に顔をあてて声を殺しまで、僕の前で泣くことは恥ずかしい?」

僕がその癖を見つけたときは、幼稚園のお昼寝のとき。
そして、うつぶせの意味を知ったのは、その3年後の幼稚園のお泊り会のとき。

お昼寝のときは、こんな寝相なんだなぁ・・・・としか思ってなかったけど。
お泊り会のとき、水月ちゃんは、皆が寝ている間、必死に声を殺して泣いていた。
『お泊り』が怖い幼稚園児もいたから、そうなのかな?と思って、暗い部屋の中でこっそり聞いてみると。


「あいちゃんがないてるから。」


ただ、その一言だけだった。
小さかった僕にはなんのことだかわからなかったけど、
数年後、僕はその意味を知ることになった。

藍さんのことで泣けるほど、水月ちゃんの中での藍さんの存在は大きい。
青都兄さんと藍さん、天秤にかけたら、水月ちゃんはどっちを選ぶだろう・・・・・?


「もう、布団に入ると泣く癖がついたみたいだね。ホント、嫌になるよぉ。」
少し笑いながら、でも声は悲しんでた。
そして今度は真剣に。決意をかためた厳しい声で言った。
「忘れるな。っていうことなんだろうね。藍ちゃんはずっと私を庇っていてくれたことを。そして許しちゃいけない。あの人が藍ちゃんにしたことを。」

色褪せない思い出―挿絵−5



「だから、今からすること、藍ちゃんには言わないでね。」
そう言ったとたん、優しく、どこまでも透き通る声で泣いた。
富村さんたちに聞こえないように。でも、僕にははっきり聞こえる声で、泣いた。

兄さん。やっぱり僕は嬉しいのか、悲しいのかわかりません。
僕の前だけ泣いてくれるのは嬉しい。
だけど、この泣き声がとても切なくて、悲しくて・・・・・・・・・・・・・・。
僕まで泣きそうです。

僕は、天秤の対象にはならないと思うけど。
やっぱりこの人が好きです。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


あ、なんか今日は、男の子視点だったなぁ〜。
次はまた青都&藍の方に戻る予定。
『母親』のことについて語る?かも。
あぁ〜。 微妙な小説だなぁ〜。

そいや、今回の挿絵、水月の向き間違えたあぁぁ〜〜!!(叫)
ま・・・・、まぁ、気になさらず。


誤字・脱字などはあたたかく笑ってやって下さい(ォィ)
今のところ、間違いやすいのは緋露の『露』ですね。
『路』と『露』。 もう、どっちが正解なのか・・・・。
たぶん『露』の方が正解かと。
ってことで、ご意見、ご感想、ツッコミなどなど、どうぞお書き下さい♪

                         雨咲 みかんでした。



別窓 | 空想小説 ―色褪せない思い出― | コメント:0 | トラックバック:0 |
色褪せない思い出−4
2006-11-13 Mon 17:46
あたしは居間に走り出し、勢いよくタンスを開けた。
下から2番目の引き出しの一番上にあった服をひっぱり、ひっぱる勢いが強かったのか下にたたんである服にひっかかり、力任せに引き抜こうとした。
タンスがギギギと嫌な音をたて、タンスの上に飾ってある立派な魚拓の額がガタッとコントみたく落ちそうになったがそんなの気にしている場合じゃない!
あたしはいつものパーカーを上からはおり、ゆっくりと息を吸った。
「ぐはぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ。」
あたしは、深呼吸のかわりにまるでおっさんのような声でため息をついた。
別に肌を見られたのが問題なんじゃない!!……いや、世間的には問題なのか?
あたしと青は互いの肌を見たって真っ赤になる関係じゃない。
むしろ、男友達気分だ。だから、そのことについては問題じゃない。
問題なのは……。
『あたしの右肩にあるアザ』
やっぱ気にするよねー。 そりゃ、子どもの頃治ったって嘘ついてたんだし。
でも、治らないものは治らないのよ!! 仕方ないじゃん!!
はぁ〜。 これからなんて言い訳しよう……。
「アザ?これはアザなんかじゃなくて、ホクロの集団で〜すv」ってか?
…………。ダメだ。自分で心の中でやってるとわかってても、寒いボケ。
やっぱり、無理だよね……。 隠し通すなんて。
素直に謝ろうか…。「隠しててごめん。」たった一言だもんね。
素直に言えたらいいな……。

めずらしく考え事をしていると、いい匂いがしてきた……。
この匂いはぁ〜〜〜vv
あたしはその匂いに誘われるがごとく、ふらふらとその匂いのする方へ向かった。



―――――――――――――――――……。



参った――。
全く参った―――――。
まさか、あんな格好してるとは。
久しぶりに見た、露出の多い服。
子どもの頃は、あれでもワンピース着てたもんなー。
藍は暑さを我慢できるタイプじゃない。口を開けば「暑い、暑い。」と言っている。
そんな藍がパーカーをいつも着るようになって、子どもの頃不思議だなとは思ったけど。
やっぱ、着るよな。 背中にあんなデカいアザがあるなんて。
俺にまで隠す必要ないじゃん………。
アザがあったことよりも、そっちのがショックだ。


まぁ、俺たちは肌とか見ても真っ赤になるような、そんないい関係じゃない。
いい関係―――…? まぁ、それはさておき。
少なくとも藍はそう思っている。
なら、その関係でいようじゃないか。
いつまでも。それを藍が望むなら――――――――。
でも、まぁ、俺にも限界ってものがあるってことを、そろそろわかってほしい。

グツグツと鍋の音が大きくなる。
上から見るとこの前テレビでやっていたマグマのようだ。
この感情も嫌な思い出も全部溶けてなくなってしまえばいいのに。
そうしたら…。



ずっと気楽でいられたのに。


ずっと平和でいられたのに。


ずっと一緒にいられたのに。



ピ―――――――――ッ。


現実に引き戻されるかのように、炊飯器の音が鳴る。
俺はコンロの火をとめ、左手の方向にある食器棚から適当な器を探す。
食器棚の食器の並びは、下が大きい皿や持ち上げにくい皿など。目の前より少し下にあるのが小さい皿、コップ、箸、しゃもじなどの調理用道具。上にあるのが普段使わない皿たち。
家事は水月ちゃんがやっているので、どれもこれも水月ちゃんの使いやすいように並べられている。
俺には少し低い位置にあったので、少し食器棚を覗く感じで、すぐに深い皿を探す。

「うん。ぴったりだな。」

俺は色違いの他は全て一緒の皿を2つ皿としゃもじを取り出した。
綺麗に洗ったまな板を元の位置に戻し、その位置にそれを置く。
炊飯器を開けるボタンを押す。
炊飯器は壊れるんじゃないかっていうほど勢いよく開き、俺はしゃもじを水で洗った。
ご飯のいい香りを吸いながら、綺麗にご飯を盛っていく。
よし、完璧。と気づかずに呟くほど上手くいったのか。ご飯は綺麗に皿の半分に盛られていた。
そして気づく。
「俺は何やってんだ〜?うかれすぎだな。」
うかれすぎ――――? うかれすぎだな。
久しぶりだもんな。あいつと二人で飯食うの。
自分で言ってて、恥ずかしい。

「さてと、気を取り直して……。」
俺は居間の方を見た。その部屋に藍がいるんだと思ってぇ!!?
「お、お前いつから!?」
居間の方から、パーカーだけを着た藍がつったってた。
できれば、前も閉じてもらいたい。
ホント、一応女っていう自覚をもってもらわないと困る。
「いっやぁ〜、つい匂いに誘われて〜♪それにしても〜。」
そういいながら藍は俺に近づいてきた。
いや、俺というよりも――。
「ご飯が上手く盛れたからってうかれすぎ。水月のがもっと上手いんだから!!」
俺の方に指をビシッと向けるものの、眼が鍋に向いている。
鍋ね。 ハイハイ。 結局食い物かよ。
「俺みたいに盛れねぇー女がなにを言う。」
デコピンをお見舞いしてやった。
「いったぁ〜〜〜〜っい。おでこからゆげでるよー。」
「そしたらむいて食ってやる。ゆで卵め。」
「あたしはゆで卵じゃない!!」
「おら、ゆで卵。食器棚からスプーン。」
「だから違うっつってんじゃん。」
そういいながらも藍は食器棚の引き出しを開ける。
スプーン2つとコップ2つ、そして冷蔵庫からお茶を器用に取り出し、居間に持って行く。





「いっただっきまぁ〜〜〜っす!!」
スプーンを『いただきます』のかたちで両親指に持ちながら言った。
そうすると、すぐに言ったあと食べれるらしい。
全く、野生の王め。 弱肉強食……、と言ったところか。
俺は小さく「いただきます」と言って、スプーンですくう。
そう今日のメニューは…。
「やっぱりおいしいよねぇ。青のカレーは!!」
「ったりめーだ。」
藍はがつがつ食べる。本当に山から来たんじゃねーかと思ってしまう。
「でも、水月の方がおいしいんだよねー。って、痛っ!!いきなり鼻つまみはないでしょー。」
「お前なんか、もう食うな。」
俺は左手で藍の鼻をつまんでいた手をゆっくり離す。
「ウソウソ、じょーだんだってばぁ!おいしいよ。これ2日目のカレーだし。」
「お前、そんなこともわかんの?」
「前に食べたときと違うからね。」
藍は大きくVサインを俺の前に見せた。
そして、にっこり笑って…。
「てことで、おかわり。」
俺の前に突きつけたその皿には、米一粒もなかった。

色褪せない思い出―挿絵−4



俺は、居間から台所へ向かった。
そして、炊飯器にご飯を盛りながら、少し思った。

このカレーは昨日緋路と食べたものだ。もちろん俺が作ったもの。量は一応6人分。
6人分と言っても、カレーは予想以上に多いものだ。
俺と緋露と父さんの分。父さんは島の会議でいないが、一応数にいれた。
昨日俺と緋露が食べて、お昼は食べてないだろ〜?計算では、あと4人分。
でも、いつもより減りが早いなぁ……。

そういえば、どうして俺が泥棒みたくここにいて、のんきに鍋をかき回してるかっていうと、実は俺と藍との家は数歩しか離れていない、いわゆるお隣さんだ。
家からその鍋を持って来た。藍と二人で食べる為に。
この島に鍵をかけて家を出る人はそうそういないので、勝手に家に入った……っていうのは聞こえが悪い?
でも、この島では結構当たり前なんだよなー。

あ、あいつまさか!!
「おっそーっい。」
藍は机に手をついで口にスプーンをくわえ、上下にブラブラさせながら、台所から帰って来た俺に言った。
すっごく偉そうだ。 ホント、お前何様?
「お前、昨日俺ん家来たろ?そして、勝手に俺のカレー味身したろ〜〜?どーりで減りが早いはずだ。」
俺は、前に食べたときを、数年前にご馳走してやったときのことだと思った。
でも、鍋の中はあきらかに減っていた…。
藍はビクッと身体を震わせた。眼が少し泳いでる。
これもあいつの悪い癖。
「食ったなぁ〜?」
俺がにっこり眼を見て藍にいう。だが藍はスプーンを口から話さず、口を閉じたままだ。
「むぅ〜〜〜〜〜〜〜〜っっ。ひゃべちぇにゃいもんねぇ(食べてないもんねぇ)――!!!」
俺はスプーンを引っ張る。
「こら、スプーン離せ、危ないから!!そして食ったの認めろぉぉおぉ〜〜〜。」
だんだん、力がこもる。こいつ、歯で止めてやがる!!
「はぬぅぁせぇぇ〜〜〜!!」

ホント、こんなくだらない日々がいつまでも続いたらいいのに――――。

でも、この時の俺は知らなかった。

数日後の騒ぎと、藍の過去。


そして――――。




藍の覚悟。





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

はい〜。やっと本題に近くなってまいりました。
今回は、青都中心ですね。藍もちょこっと出てますが。
本当の本題はこっからですから!!
藍の過去の黒い部分にふれていきたいと思います。
あんだけ、お母さんがどーのこーのとかいいながら、次かよ!!
というツッコミはなしの方向でお願いします〜〜。
そして、残念ながら、次に書くかもわかりません。
きっと次は同時間の水月&緋露にスポットをあてていきたいと思います。
まだまだ、続きますがよろしくお願いします。
今回も、感想、ツッコミ、アドバイス。お願いします。


                         雨咲みかんでした。
別窓 | 空想小説 ―色褪せない思い出― | コメント:0 | トラックバック:0 |
色褪せない思い出−3
2006-10-28 Sat 13:51
「はぁ…、はぁ……。」

あたしは、青都たちと別れてから、力一杯走っている。
この島には崖はなく、島をぐるりと一周できるようになっている。
なので、島のかたちは島の中心へ行くほど高くなっている。
そして、中心には大きな火山がある。
今はもうその危険性はないといわれているが、はっきりと『ない』とはいえないらしい。
だからマグマがおしよせてくるか、わからない状態だ。
ま、火山が噴火したってあたしはこの島を離れるつもりは全くない!
それだけこの島が好きだってコト。
それにあたしには、『約束』を守らなきゃいけない―――。

―――――――――……勝手な約束を。


もう、目的地についただろうか?
あたしはいったん足を止めて、俯きながら辺りを見回す。
「はぁ…、はぁ……。確かここら辺だったよねぇ……?」
いくらあたしが『野生の王』……じゃなかった、体育会系でも、砂浜での全力疾走はさすがにキツイ。
あたしはまだ息も整っていないのに顔をあげ、目を凝らす。

「―――――あった!」
私は急いで大きな岩の少し後ろに隠れっていた光っている正体を手にした。
あたしは得意気に『野生の王』をなめんなよ、と誰もいない海に向かって声にだした。
あたしは、手に持ったソレを開けようとした、その時。

「何をしているんだ?」
驚いて振り向くと、そこには息をぜぇぜぇいわせている青都の姿が……。
「青…。」
「何をしているって聞いてるんだぞ。答えろよ。」
…やっぱりあたしが変だってバレたか。
あたしはいつも通り明るく振舞った。
左手に持ったソレを隠しながら…。
「何言ってんの?ただ、ちょっと走りたくなっただけじゃん!ほら、良くあるでしょ?あたしも『青春』を感じてみたくなって…。」
「そんな嘘を聞いてるんじゃない!」
青都が怒鳴った。
あたしはこんな青都、知らない…。
いつもの青都じゃないことはすぐにわかった。




―――――――――――――――――……。



あれは、ついっさっき。
あんなことを言われたから俺はここまで来た。

藍が去ったあと、残った三人はまだ海辺にいた。

「青都さん。」
急に水月が声をかけてきた。
「何?水月ちゃん」
「もしも暇だったら、藍ちゃんのこと、追いかけてもらえませんか?」
水月は少し悲しげな表情をして言った。
緋露が少し驚く。水月は続ける。
「藍ちゃん、私には何にも話してくれないから、ついつい独りでかかえこんじゃうんです。」
水月は海の方を向いてこういう。
風がものすごい勢いでふいた。
近くの家に植えてある樹たちがいっせいにざわついたように音をたてる。
「――――みたいに。」
風で緋露が聞こえなかったらしいが、俺にはちゃんと聞こえた。

もしもそうなら、なんとしても藍から聞き出さなくてはいけない。
何をしていて、何を隠しているのか。

だから俺はここまで来たんだ。
藍を助けたいから―――。


――――――――――――――――――……






「左手、何か持ってんのか?」
青都があたしの左手に気づいた。
「っ〜〜〜…なぁ〜んにもないよ?いつものゴミ拾い!島の海流の関係で、よくここにゴミが集まるんだよねぇー。」
ゴミのことは本当だ。
近くの島から出たゴミが、海流の関係上ここの海に流れ着く。
あたしはよくここでゴミ拾いをするから、青都が知らないはずはない。
「じゃあ、見せろよ。宝とかだったら俺も半分よこせ。」
冗談のような内容だけど、顔が真剣だ。
青都はあたしの右手首をつかむ。
逃がさないつもりだな…。
見せないと、やっぱり見逃してもらえない?
ここまで来て諦めるのか………。
できるだけ『秘密』は見せたくないなぁ…。


――――キット、黒クテ歪ンダ汚レタモノダカラ。


知ったら、嫌われるかな?
きっと今のままではいられない。
同情した感じになる。
あたしは、同情なんか嫌いだ。
そんなのがほしい訳じゃない!!


ダカラ―――。


アタシハ嘘ヲツク―――。


誰にも知られないように。
独りでだってかかえてみせる。
どんなに潰されそうになったって、耐えてみせる!
今までだってそうだったから。


――――今マデダッテ。




「―――何でもないってば!」

あたしは力強く青都の手を振りほどこうとした。
だが――。

「離さない。何があったか言うまで。」
「何もないよ。何にもないってば!!」
言葉がきつくなってしまう。
そんなことをいいたいんじゃないのに……。

青都の手が痛いくらいに強くなった。
今度は思いっきり力をこめて、振りほどこうとする。
絶対、絶対…知られてたまるか!
「どうしてそう思うの?あたしは普通だよ。ちゃんと笑ってる。嫌なことがあったわけじゃない。だから何にもないの!」
「笑ってる…?」
青都が真っ直ぐにあたしを見た。
「じゃあ、なんであの頃と一緒の眼で俺を見るんだよ!!」

あの頃………。
一番思い出したくない過去。
それはあたしが子どもながらに覚えた『痛み』と『我慢』

「ぁはっ…。」
思わず笑ってしまう。
ペタンと急に座り、俯きながらつぶやく。
「まだ、悪い癖がなおってないのかぁ……。」
もちろん、青都はまだあたしの手首を離してはいない。
「………。」
青都はずっと黙ってあたしを見ている。
あたしは俯いたまま、青都と目を合わせることはない。
「…青、約束してくれる?」
声が少しこもってしまう。
「水月にはこのこと言わないって。」
青都は少し間を置いて答える。
「…あぁ。」
上から言葉の返事が聞こえたのを確認した。
「それともう一つ。」
今度は俯かず、青都と眼を合わせた。
「今まで通りでいてくれる?」

そう、同情なんかしないで、思いっきり青とぶつかれるように…。
ずっと、そのままでいたい……。

ドスッと青都必殺のチョップが降ってきた。
あたしが痛いと言う前に、青都はあたしの目の前に座り、
「バーカ。俺がお前に同情すると思ったか。バ―――カッ。」
『バカ』が二回。
あはは、『バカ』と『チョップ』は青都の愛情表現だ。

そうだよね。
かわるわけない…。
ゴメン、青。
あたしホントにバカだった……。


あたしは左手に持っていたソレを青に渡した。
青都はそれを見て
「ペットボトル?」
と、言った。
そう、光る正体は反射したペットボトル。
しかも、紙入りの。
それが問題だ。

「中、手紙見てみて開けてみて。」
あたしの言った通りに青都がキャップを取り、紙を出す。
そこには緑色で綴られた手紙が書いてあった。


『どうかこの手紙を見た方は――――――に届けて下さい。』

そこには住所がかかれている。

『こんな風に送るなんてごめんなさい。』
『でも、こうでもしないと、お父さんにも内緒にするでしょ?』
『あのときのことは、ごめんなさい。』
『謝って済む問題じゃないことはわかってる。』
『私を許してなんて言わない。だけど、私は娘の顔がみたい。』
『また、水月たちの絵が描きたいの。』
『今私は絵が描けない状態なの。それは、何を描いても描く気がおこらないの。』
『やっぱりあなたたちじゃないと駄目。』
『私には娘の顔を描くことすら許されてないの……?』
『確かに、私のしたことは許されない。でも、私たちまだ家族よね?』
『お願い。母さんを助けると思って…。』
『この下に連絡を書いておきます。今はこの島の近くの県内にいるわ。』
『気が向いたら連絡をちょうだい。一緒に住もうなんてまだ言わないから。お願いだから水月たちにもう一度だけ会わせて…。』
『お願いします。』

「これ……。」

『あなたたちを愛している緑王より』

「そう、あたしの母親だった人の手紙。」
青都は手紙をまじまじと見る。
「ひどいな…。まるで反省していない。特にこの…。」

『水月たち』

「これはあたしにむけた手紙。普通の手紙ならあたしが確実に隠す。だから、この島の海流を利用した手紙。運がよければ水月や父さんが見る。そうすれば、また自分のところに来るかもしれない………。」
「笑っちゃうでしょ?」
あたしは海の方を見て、はき捨てたように言う。

「藍のこと全然何にも考えていない。自分のしたことにも悪いと思ってない。」
青都の目つきが更に悪くなる。
「だから、これはあたしと青だけの秘密。信用してるからね。」
振り返りながら、青都の眼を見て言う。
「あぁ。」
青都は小さく言った。

――――――…。


しばらく話してからあたしは家へと向かう。
青都はあれ以上聞こうとしない。
きっとあたしから話すのを待っているんだと思う。

辺りはオレンジ色と少し赤色をたした感じの空になっていた。
玄関を開け、真っ先に洗面所へ行く。
玄関は普通鍵を閉めない。
盗られるものもないし、盗るものもいない。
ここは平和だぁ……。
海で髪が少しベタついたので風呂に入った。
あたしはよく風呂に入りながら今日あったことをふりかえる。

平野さん家の渋柿はいつ食べ頃なんだろうか……。
緋露君の助けた鳥は元気だろうか……。
愛媛蜜柑は無事においしく食べられたろうか……。

とか、くだらないことのが多い。
だが今日は……。

本当に青都に話して良かったのか……。
あの手紙をどうするか……。

めずらしく真剣になって考えた。
ずっと風呂につかってたせいか、頭がぼーっとしてきたので、上がることにした。

今日は水月がいない…。
久しぶりにアレを着よう。
いそいそと、洗面所の上の棚にあった箱から、一枚のタンクトップを出す。
あたしは風呂は熱風呂で長時間入っている。
だから、パジャマなんて表面積の多い服なんか着てられない。
だけど、水月がいる中、着ていることはできない。
本当はいつも着ていたい、ソレを着る。
下はもちろん短パン。
それも、けっこう短めの。

首からタオルをぶらさげながら、あたしは洗面所から台所へ行く。
冷蔵庫がガタンとこれでもか、というくらい開ける。
だが、反動によってまた閉じようとする扉を身体で防ぐ。
まずは冷凍庫から、ソーダ味のアイスを出し、袋から取り出したかと思うとすぐに口の中へ。
冷蔵庫から牛乳を出す。
かたっぽの手でタオルをつかみ、そして居間へ行こうと、冷蔵庫をハデな音で閉める。


―――――ガタ。

不思議に思って振り返ってみると。
そこにはさっきまで真剣な話をしていた青都が、鍋をかかえている。

色褪せない思い出―挿絵−3



シン…といったん静まりかえるが、

「〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
言葉にならない声をあげる。

やばい、やばすぎだ!!
あたしのもう一つの『秘密』を青都に見られてしまった!!!!


「っこのヘンタイ!!」
やっと言葉にできたのはその言葉。
そして、背中を隠すように青都と向き合う。
さっきまで、止まっていた青都も口を開く。
「あのなぁ〜。普通女なら、そのひらべった――――っっい胸とか隠せよ。ホントお前ってバカ。」
青都は持っていた鍋をコンロに置き、火をつける。
そして青都が無言で、指を居間の方にさす。
「――っっ!!覚えてろぉぉ〜〜〜!!」
あたしは、居間の方へ走りだした。
台所にいる青都は「転ぶなよバ―――カ!」と大きく言う。
クスクス笑い、藍が居間へ言ったのを確認する。
そして、コンロの火をみながら真剣に小さく呟く。


「あいつのアザ、まだ治ってなかったのか…。」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


はい、だんだんと本題に入って参りました!!

今回は藍と青都とのからみがおおかったですねぇ。
まぁ、書いてて楽しいですけど。

3話に入って、やっと3話か……。とい達成感が(もうかよっ!!

でも、これホント長いですよね。
打つのにも、一時間以上かかります。
今度はもっと早く、そして正確に打てるよう頑張りたいと思います!!


よろしければ、感想、ツッコミなんでも下さい!!

                  雨咲みかんでした。



別窓 | 空想小説 ―色褪せない思い出― | コメント:0 | トラックバック:0 |
色褪せない思い出−2
2006-10-26 Thu 02:02
「そういえばさ、緋露知らない?」

あたしが『愛媛蜜柑』と熱い誓いを立てている間に、青都は水月に聞いた。
水月は少し首をかしげ、「見てないです。」と青都に言った。
青都の為なら今すぐにでも捜しに行きたいが、両手の『愛媛蜜柑』が手をふさいでいる。
そんなに邪魔なら、あたしが食べるのに…と思った自分がいた。
水月は少し俯き、青都に聞こえないくらいのため息をついた。

「あたし見たよ…?」
何気ないあたしの言葉に、二人があたしを見る。
もっとも青都は「ホントかよ。」っていう眼で見てるんだろうけど。

「緋露君でしょ?神社のすぐ近くで見たよ。」
「ほら、あそこの抜け道を曲がった…」と、あたしは身振り手振りで教えた。
「やっぱりか…。」
青都は顔を左手で隠した。
すごく「まずいぞ。」とでも言いたげな顔だった。
「何かいけないんですか?」
水月が遠慮がちに聞く。
「いやぁ、たぶんあいつ…。柿採りに行ったんじゃないかって。」
「「柿!?」」
あたしと水月とのダブルサウンド。
姉妹だからってそうそう合うもんじゃない。
だけど、このときはなぜか息ぴったりだった。

「たしか……。平野さんって言ったっけ?そこの柿を昨日見てたから、今日が食べ頃かと思って、採りに行ったんじゃないかと…。」
青都は頭をかかえる。
あたしと水月は『平野さん』というフレーズにひっかかった。
そして、互いの顔を見合わせた瞬間。
「「渋柿平野さん!?」」
またしてもダブルサウンド。
それを聞いて、あたしは少し笑ってしまった。
「どういうことだ?」とでもいいたそうな顔で見てくる。
水月が得意気に答える。
「あそこの柿渋柿なんですよ。小さい頃、藍ちゃんが食べて…」
「すっっっごいまずかった。」
つけたしをするようにあたしは言った。
「あれで藍ちゃん、3日間寝込んだんだよねぇ〜。」
「へぇ〜〜〜〜。」
そんな情報青都に教えなくていいの!!
つか、思い出したら味まで思い出してきた…。おえぇ〜〜。
「藍が寝込むってことは、強力だな。そんなの食ったら、緋露死ぬぞ。」
「死ぬかっての!」
青都の脇にケリをいれようとしたものの、青都はすっと左によけた。
軽くあたしに向かってあっかんべーをする。
あー、つくづく嫌なやつ。


「おぉ〜〜〜っい」
遠くから声が聞こえた。
あれは緋露君の声…。 片手をこっちへ振りながら走ってくる。
黒のシャツ着てるから、余計に目立つのかな?
ここの島は南に位置しているから、暑くて黒は着たがらない。
というか、暑くて着てられない!
まぁ、目立つっていうよりも、あたしの眼がいいってコト。
青都に言わせれば、野生の王!とかなんか言うけど。
でも、便利でしょ?

それにしても、緋露君ナイスタイミングだね。
これは、もしや…噂をすればなんとやらってヤツ?

緋露君が数メートルまで走ってきた。
そして、走りは止めたものの、早歩きでこっちへ向かう。
砂浜を走って体力が少し奪われたのか、ぜぇぜぇと息をしている。
そんな緋露君を見て「畑仕事して体力つけるか?」など、青都の嫌味が飛ぶ。
「そういや、お前平野さん家の柿食ったのか!?腹、大丈夫か?」
だいぶ息が落ち着いたような緋露が答えた。
「何?柿…?兄さん僕、よそのお家から採ってまで柿を食べたりしないよ。」
緋露がまじまじと青都を見た。
青都は「そりゃそうだな。」、水月は「緋露君はそんなことしないよね。」など、笑いながら言った。
当の本人も笑ってる。
そして最後には。
「「「藍(ちゃん・さん)じゃあるまいし」」」
………しばらくあたしは固まってしまった。
そして、ようやく少し動くと、また三人は笑い始めた。
あたしは怒って言った。
「あたしは柿ドロボーかっ!!」
怒鳴ってみるものの、全然ききめなし。

「あ。」と水月が小さく言った。何かを思い出したように緋露に向かって。
「これ、みんなで食べて。」
緋露に渡されたのは、ついさっきあたしが熱い約束を立てていた『愛媛蜜柑』。
水月が緋露の側によってこう言った。
「緋露君、愛媛のおばあちゃんからもらったの。お裾分けで悪いんだけど貰ってくれるかな?」
すっごくにっこりな水月から受け取らないわけがない。
つか、あたしがほしいよ!『愛媛蜜柑』。
「ありがとう、水月ちゃん。重かったでしょ?大丈夫?」
緋露は水月に気を遣いながら聞いた。
水月は「うん。ありがと。」と言う。

「…そういえば、緋露、お前は何してたんだ?」
腰に手をあてて青都が聞く。
「鳥がね、ケガしてたんだ。本当はすぐに手当てしたかったけど、薬屋さんも閉まってるしね。だから、今日すぐに行ったんだよ。その鳥がケガしてとまってたのが、平野さん家の柿の木で、青都兄さん間違えたんだね。」
と、いたって明るく振舞う。
水月が「優しいねぇー。」と声をかける。
そして緋露は続ける。
「浅黄兄さんみたいにはいかなかったけど、鳥もだいぶ良くなっ……。」
どうして緋露君がここで止めたのか、それは―――。
「あいつの話しはするな。」
青都は怒るように緋露に言う。


青都は『浅黄兄さん』を嫌っている。
つまりは、3年前にこの島から出て行った、青都と緋露君の実の兄。
浅黄という人物は、皆から慕われていたが、次男の青都だけにはなぜか嫌われている。
あたしにとって、浅兄の存在はとても大きかったけど、
医者になるのが夢だった浅兄は島を出て行った。
そのことを青都はまだ、許せないんだろう。

あたしは、浅兄に何度も助けてもらった、救ってもらった。

だから――――。

「そんないい方ないんじゃない?」

――――浅兄を否定する青都は許せない。


あちゃーと、そしてまたか…と言わんばかりの顔を水月はしている。
緋露は「ごめんなさいごめんなさい…」と呪文のように呟いている。

ようするに、今のあたし達に『浅兄』という言葉はNG。
なぜなら――――。

「はぁ?あんなやつの何を庇うっていうんだ?島から出て行ったやつを」

「だから、そんな言い方ないんじゃないのって言ってんの!兄弟なんだから仲良くしなってば。」

「本人いないんじゃ、どーしよーもねーだろ」

この言葉を言うといつでもケンカ状態になるのだ。


色褪せない思い出―挿絵−2



「いなくて寂しいなら素直に言えばいいじゃない。」

「誰が寂しいって…?」

ケンカごしに言葉がついつい出てしまう。
こうなると、水月たちも呆れ顔にかわる。

「お前が寂しいんだろ。俺はなんともねぇー。だいたいほとんどあいつなんていないも同然だろ。」

「寂しいよ!悪い?つか、自分一人で何でもできるなんて思ってないでしょうね?浅兄だって苦労してるんだから!」

「……逆ギレかよ。」

全くその通りだ。
こうなると、誰も手におえない。
水月たちも、諦めて見守っている。
この技はもう何十回…、いや何百回と見て経験した答えだ。


「だいたい、あんたはねぇ〜……。  ! 」
海辺で何かが反射して一瞬眼を細める。
まぶしぃ……。これは、もしかして。
青都や水月、緋露には幸い見られていない。
きっとアレだ……。
早く…、見つかる前に!!

藍は手をぎゅっと握った。
それから、深呼吸をし…。
「あたし、ちょっと用事あるから。」
水月たち、もちろん青都も目を見開いた。
いつもなら、あと30分はケンカし続けるはずなのに…。
誰もがおかしいと思った。

「んじゃ。」
藍は青都とすれ違い、できるだけ早く走ろうと、右足を出した。
「あ、藍ちゃん。私、今日豊村さん家に泊まるからぁ〜!」
「了解」の合図として親指を立ててから、あたしは走り去った。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



ひたすら眠いです。
ただいま、日付変更線を大幅に超えております。

なので、誤字脱字なんか結構あると思うので、お指摘&ご感想お願いします。

でわまた…。

あぁ、第2回なのに、気の利いた言葉さえ浮かばないほど眠い……。

また改めて書きたいと思います。
でわ、おやすみなさい。




                     雨咲 みかんでした。

別窓 | 空想小説 ―色褪せない思い出― | コメント:0 | トラックバック:0 |
色褪せない思い出−1
2006-10-17 Tue 14:55
色褪せない思い出―挿絵−1


――――――待ってるから。

それは子どもだった私の勝手な約束。




波の音は優しい。
空気はおいしい。
いうことなしだね。

あぁ、なんてすばらしいんだろ…。
この『島』は。

……島だけどね。 本州から40時間もかかるけどね。
でも、キレイなんだよ。
それだけで、いいじゃないか。

私はこの島で一生を終えることを誓う。
……って、いうと本当に14か?と、言われる。
若い人はこの島を捨て、『都会』という未知なる領域へ行く。

別にいいじゃないか、畑耕してても。
たまに、近所の柿採ったりしても。
こうして、膝抱えて海見てても…。
あぁーあ。 海は本当にキレイ。

でも……。

大切ナ人ヲ連レテイッタ。



――――――――行かないで。
―――――行かないで。
――行かないで。


「行かないで。」
聞こえるか、聞こえないかの声で。
今更言っても遅い言葉を口にした。

「藍ちゃん。こんなところでどうしたの?」
振り向くと、そこには妹の水月。
あたしより2つ下だけど、とっってもしっかりしてる。
ホント、何食ったらあんなにしっかりなるんだろう。
いや、あたしがしっかりしてないから…?
姉として情けない………。

水月があたしの方に向かって歩いてくる。
右腕に薄い黄色の買い物袋をさげて。
めずらしく『愛媛蜜柑』とでかでかとわざとらしく書かれている箱を両手で抱えている。

潮風が少しきつくなってきて花柄のワンピースがなびく。
そいや、ほとんどワンピースを着てるよね。かわいいけどさ。
ま、あたしもフードばっかだけどね。だって便利じゃん。
これなら雨の日も風の日も動ける。


「ん?捜しもの。」

ふぅ〜んという感じで水月があたしを見る。
ん?この感じ…まさか。

「また?でも、そんな暇あったら、畑耕してほしいなぁ。」

うわ、すっごいにっこり笑ってる。
いつもより20%増量?

「ちゃんとやることはやってるよ?あたしだって…。」

やばい、少し目が泳いでるかも。
でも、頑張らないと、またやられる。

「私は朝からご飯作って、洗濯して、掃除して、今から買い物だよ。で、藍ちゃんは何やったの?」

切り捨てるように、水月は言った。
あ、いたたたたたたぁ。
や、やるな、水月。まぁ、ホントのことなんだけど…。
あーぁ、今回もあたしの負けだよ。

「えーっと、さ。畑にでも行こうかな。」

仕方ない、仕方ない。これも生活の為。

「そうそう、お父さん漁に行ってるんだから、藍ちゃんは畑耕してね。」

あたしは立ち上がるとググッとのびをする。
でも、目線の先はしっかりと『愛媛蜜柑』。
箱から少しずつ目線を上げて……。
水月とにっこり顔をあわす。

「ダメだよ。藍ちゃん。コレ、青都さんにお裾分けする物なんだから。」
「あんな奴に渡す物なんかないっつーの。」

鼻歌まじり遠慮なく箱を開ける。

「ちょ、ちょっと藍ちゃん。」
「大丈夫、大丈夫。バレやしないって、蜜柑の一つや二つ。」
「じゃなくて、…後ろ。」
水月がそう言い終わる前に、後ろからの鉄拳。

グハッッ!!!!
くぅ。この遠慮のないチョップわぁぁ!!!
奴だ。奴しかいない。
振り向いた先にはもちろん…。

「青!!痛いっつーの。頭悪くなるじゃん。」

しかも今、お前もう頭悪いだろ?っていう眼で見てる!!
だから、こいつ嫌いなんだよ。

「バーカ。水月ちゃんが嫌がってるだろ。水月ちゃん見習って、謙虚になれよ。バーカ。」

今、バカって二回言った!!
こんな奴にやる蜜柑なんかないっつーの。
蜜柑もあたしに食べられた方が幸せだって。
こんな奴を見て真っ赤になるな水月!!騙されるなぁぁーー!!

「うっさいわね。あんたは緋露君の優しいところを見習ったら?」
「残念。緋露は優しい俺の背中を見て育ってきたんだよ。」

あたしと青がケンカするのは、いつものことだけど、今日だけは譲れない。
だって、『愛媛蜜柑』がこっちを見てるもの!!
あぁ、そんなにも見ないで!! あたし負けないから。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



勢いだけで書いてしまった……。
微妙な区切りでごめんなさい。
これ以上書くと、もっと長くなるので、ここまでです。
続きはまた後で書くかと。

ご存知の方はいるかと思いますが、私のHPのサイト内にいる『藍』をモデルにして書いております。
絵を見たい!!という心優しい方はブログ内のみかんのかんづめへとび
絵とマンガ コーナーにて、おいております。
一応挿絵も描いていくつもりですので♪
文才なくて、下手ですが、これからもよろしくお願いします。
……できれば、アドバイス&コメントも下さい。



                       雨咲みかんでした。


別窓 | 空想小説 ―色褪せない思い出― | コメント:0 | トラックバック:0 |
| 空想のハコ ―雨に繋がる蒼の詩― |